PEOPLE

グローバルステーショナリー事業本部

商品開発

川崎 友寛 2014年新卒入社

川崎 友寛

の社会の拓き方

お客様へのベクトルを持つ。
皆で一番の解を見つける。

製造プロセスを知らなければ、
デザインできないものがある。

製造プロセスを知らなければ、
デザインできないものがある。

勉強熱と文具消費が増加しているASEANに顧客を開拓し始めているコクヨのステーショナリー事業。2030年にはアジアステーショナリー事業No.1を目指している。グローバル展開商品の開発の現場で、入社13年目の川崎友寛は今、筆記具のデザインに取り組んでいる。

学生が長時間使う筆記具は、カラーひとつで購買意向が変わってきます。ボールペンでも自分の気に入った1本を持つことで、勉強に向き合う気持ちが楽しくなったり、自分のこだわりを表現できたりします。アジアの学生たちのそんなツールになれるように、デザインにより磨きをかけていきたいと思っています。

文具のプロダクトデザインの奥深さを予感してコクヨに入社した川崎が、最初に配属されたのは、ハサミやステープラーといった機構文具類の開発チームだった。周囲は機械・工学系出身の先輩たちがほとんど。デザイン系は自分だけ。すぐに気づいたのは、設計や製造のプロセスが分からなければ理想的なデザインができないということだった。

家電製品のように内部のメカを設計する人と、外装のデザインをする人がはっきり分かれている製品と違って、文具は内部機構が外観に密接に結びついているものが多く、設計とデザインが切り離せるようなものではありません。まずは先輩から機構文具の設計のいろはを学んだり、工場に足を運んで、プレス、研磨、コーティング、樹脂成形、組み立てなど、実際にどうつくられているのかを理解していきました。

そんな川崎に、入社2年目、ある新商品の開発が託された。ネットでの買い物が増えたことで、届いた荷物の段ボールを開梱する機会が増えている。ハサミの刃を開いた状態で開けようとする人も多い。もっと安全に開梱できるハサミができないか。企画会議でのふとした一言から始まった開発だった。

製造プロセスを知らなければ、
デザインできないものがある。
お客様を愚直に考えることに
否定的な人は社内にだれもいない。

お客様を愚直に考えることに
否定的な人は社内にだれもいない。

ハサミを開くことなく、ハンドル部のスイッチをスライドすると、ハサミを閉じた状態でカッターの刃が飛び出す機構にできないか。川崎が設計したのは、ハサミとしてもカッターのようにも使える、今までにない2Wayハサミだった。試作と修正、耐久性や品質試験を重ね、ほぼ開発のゴールが見えた。しかし、そんな段階になって、急に開発にストップがかかる。

ちょうどコクヨが品質基準やプロセスの見直しをしているタイミングでした。リスクの洗い出しをより厳格に行った結果、ハサミを貸し借りするシーンで刃の背側からもう片方の刃が出ていると、手を切ってしまうリスクがあると、見直しを求められたんです。カッターのように使うとき以外は、刃の背側からもう片方の刃が出てこないように戻る機構と、刃が1mm以上は飛び出さないように、設計からやり直すことになりました。

一度は肩を落としながらも、お客様の安全を大事に考えるのは当然のこと、やるしかないと切り替えた川崎は、ハサミのハンドル内部に圧縮コイルバネを組み込むことで刃が戻る機構に変更。刃の飛び出し量を0.5mmから1mmに制御することに粘り強く取り組む。中国の工場を何度も訪れては生産ラインの横で話し合う。数えきれないトライアンドエラーにも諦める様子のない川崎を見て、周囲からも知恵が集まり出す。

お客様にどういう価値を届けたいのかを愚直に考え抜くことに、コクヨ社内で否定的な人はだれもいませんでした。そういう姿勢を自分が示していくことで、周りの人もベクトルが合っていくのだと思いました。一人でできることには限界があることも、そのときに学びました。品質保証部や工場と一緒に考えて、お客様にもヒアリングしながら、皆で一番の解を見つけ出していく。これがものづくりなんだと学びました。

2017年、安全面も考え抜いた宅配段ボール開梱ハサミ「2Wayハサミ<ハコアケ>」が発売。大変だった分、川崎のなかに開発者としての自信が生まれるプロジェクトとなった。

お客様を愚直に考えることに
否定的な人は社内にだれもいない。
ロジカルに組み立てながらも
感性を大切にすること。

ロジカルに組み立てながらも
感性を大切にすること。

文具の機構や製造プロセスにも精通した開発者・デザイナーへ成長していた川崎に、2022年、その力を大いに発揮する場面が訪れた。ファッションブランドFACETASMの落合宏理氏のディレクションのもと、株式会社ファミリーマートと共同でオリジナルブランドの文具を共同開発するというプロジェクト。コクヨ側のデザイン担当として川崎がアサインされた。

落合さんの感性的なディレクションを解釈してプロダクトデザインに落とし込むことが私の役割でした。世界で活躍する鋭い感性を持っていらっしゃる方との仕事はとても面白く、緊張感とやりがいを感じました。毎週のようにデザインラフをつくり、3Dプリンタでモックアップを試作しては、落合さんに見せて磨いていきました。メーカーに所属していることで自分のデザインがつくりやすい方に流れがちなことにも気づかされて、デザイナーとして大事にすべきことを考えさせられました。ここまで多くのアイテムを同時並行することはあまりなくハードでしたが、やりがいがあり、とても楽しかったです。

「このパーツを変更することは可能か」「この裏側に色を付けることはできないか」。ミーティングでは、落合氏からユニークな発想と質問がどんどん川崎に投げかけられた。アイデアをどうすれば実現できるのか。経験をもとに、その場でつくり方を考え、すぐに回答できる自分がいた。2024年、第1弾の文具ライン35アイテムが全国のファミリーマートで発売されると、持つことが嬉しくなるようなデザインが人気となる。感性的な価値の大切さを再認識するとともに、自身の経験を活かせた実感に包まれた。

ものづくりにはハードルが多く、うまくいくこともあれば、途中で立ち止まることもあります。壁にぶつかるのは当たり前。そう思って、人と一緒に、楽しく目標に向かっていける人が増えると嬉しい。長い年月をかけて少しずつモノを改良してきたのが人間の歴史。今、コクヨというメーカーに所属する自分ができることをやって、モノを良くして、世の中をより豊かにしていきたいです。