PEOPLE
グローバルワークプレイス事業本部
新規事業開発 | 事業リーダーコース
岩本 卓馬 2008年新卒入社
地域の活動の持続のために、
収益を生み出す仕組みをつくる。
ありたい社会像として「自律協働社会」を掲げ、その実現を目指して、事業領域の拡張を推進しているコクヨ。それを担う一人が、地域創生を軸にした事業構築に挑むソーシャルイノベーショングループの岩本卓馬。社会価値と経済価値をしっかり両立させ、この領域で100億円規模の新規事業を創出しようと挑む。岩本が今、一番多く動いているのが、人口約4,500人ほどの徳島県神山町だ。
神山町とコクヨは、2021年に企業版ふるさと納税でコクヨが寄付をして以来、関係を深めています。ソーシャルイノベーショングループの私たちが参加するようになって始めたのは、地元中高生たちの居場所づくりや農業高校と連携した商品開発の支援です。いい活動を持続的なものにするために、ちゃんと収益を生む仕組みづくりにこだわろうと、ローカルECサイトを開設したり、高校生の商品開発をデザイン面でサポートしたりしています。
若者の居場所となる施設を運営する方々と共につくったECサイトでは、町の物産だけでなく、町の人の話を聞けるなどの体験プログラムも販売。モノとコトを購入でき、そこから町のファンや関係人口を増やしていこうというコンセプトだ。地元の農業高校の生徒たちにはパッケージデザインを指導して商品のリニューアルをサポート。大人も生徒も、「学ぶ」も「働く」も、混然一体となった社会実験が展開されている。
2025年秋のカルチャースナック※に神山町のブースを出店することを企画して、そこでの販売や発信を目指して、ECサイトの立ち上げや商品リニューアルに取り組んだんです。カルチャースナック当日は、町の方や高校生にも品川に来てもらって、一緒に販売しながら取り組みを発信できました。まだまだ事業としての組み立てはこれからですが、地域に深く入っていくと見えてくる景色があって、学びは多かったです。(※コクヨが品川で開催している街の文化祭)
経産省ではお昼休みに
座談会ラジオをやってました。
地方自治体、教育機関、地域コミュニティーなど、企業とは違う組織ともプロジェクトを進めていく働き方には、入社以来の経験が活きていると岩本は言う。特に2021年からの2年間、岩本はコクヨの中でも珍しい仕事を経験している。オフィス家具の直販営業で身につけた力が他でも通用するのかを確かめたいと希望していた岩本に、任されたのは経済産業省への出向。省内に入って働き方や組織の課題を見つけ、改革を推進するという任務だった。官庁という未知の組織の中に。しかも一人で。驚きつつも、岩本の心は躍った。
やることが明確になっているわけではなく、何が課題かから見つけることが必要でした。企業とは違う力学で動く組織で、だれにどう働きかければ組織が動くのかも分かりません。部署の人たちにヒアリングしてまわったり、会議で一緒になった人や、話を聞いてみたい人と、とにかくランチのアポを取って話しました。「あ、そのプロジェクト、興味あるんで、今度の会議、入れてください」と首を突っ込んだり。初めは本当に情報を集めながら自分を売り込む日々でした。
慣れない組織文化の中へ、中へ。働く人の気持ちに配慮しながらも、ときには事情を知らないよそ者の良さも発揮して、見えない薮をかき分けて入り込む岩本。課題が見つかれば、すぐに周囲を巻き込んだチームをつくり、プロジェクト化。紙で行われていた申請のデジタル化、職員の健康意識の向上、食堂のリニューアル。さまざまな変革を起動させていく。
お昼休みの時間に、職員の方と出向者での座談会を企画して、オンラインミーティングのツールを使ってラジオ番組のように発信したりもしました。それがけっこう省内でバズって、協力してくれる仲間や後押ししてくれる方が現れたんです。民間企業などからの出向者は僕以外にも約1,000人いたので、そのコミュニティーも僕が立ち上げています。このつながり自体がその後も大きな財産になった2年間でした。
出る杭を打たない会社。
自分の強みは自分で出せ。
働きかける領域を次々と広げている岩本には、自分にとって大きかった「失敗」の経験があるという。入社9年目の頃、ある大手メーカーのオフィスリニューアルの案件だった。通常なら営業の岩本が受注すると、社内のコンサルタントに仕事を渡す業務分担がなされていたが、このときはコンサルティングまでを自分でやる前提で提案を行い、実際に任せてもらえることになった。
案件全体を自分ごととしてやり抜く経験をしたかったんです。参考事例の視察コーディネートから、ワークショップでの要件抽出、オフィス設計の与件整理まで、3カ月ほどかけて自分でやりました。でも、業務の後半にお客様の期待する範囲との齟齬が生じて、上司も呼び出されて謝罪することになりました。もっとお客様と会話していれば避けられたこと。痛い目を見たので印象に残っています。コンサルメンバーの大変さも分かりました。
担当外のことまで挑んだことによる岩本の失敗。ただ、それに対して、上司や社内のメンバーは“出る杭を打つ”ようなことはせず、守ってくれた。その後もチームで対応していくことで、結果的にお客様との信頼は回復し、取引はより増えていくことに。枠を超えるチャレンジを認めてくれるコクヨの風土と、次はもっと良くできるという自信が生まれるのを岩本は感じた。
仕事って、教えられた範囲と役割をやるのは基礎だし、まずはそれにしっかり素直に取り組むことが最も大事だと思っています。そうやって周囲から信頼が得られると、チャレンジを認めてもらえるようになる。そこからは、この幅とこの深みでやりたいという意志や強みを、自分で出して確立していくこと。守破離だと思います。