PEOPLE
グローバルステーショナリー事業本部
商品開発
木下 郁 2013年新卒入社
縫製品というカテゴリーを、
事業の新たな柱に育てたい。
ステーショナリーの開発部の中でも、今は開発プロセスのさらに上流で商品戦略を考えているのが入社14年目の木下郁。
世の中にはこういう商品が求められているとか、この分野に勢いがあるから追加のシリーズを出そうとか、こういうお店でこういう売り方ができる商品をつくろうとか、マクロな市場の動き、顧客変化を追うだけでなく、販売側の視点も持って商品戦略や企画をつくるのが、今の自分の役割です。さまざまな業態のお店にコクヨの営業メンバーが売り場を開拓することで、そこに商品を並べていただくことができます。モノは開発すれば売れるのではなく、お店側の想いとも合致し、商品価値がお客様までしっかり届くことで売れていくんです。
木下自身、さまざまなお店に足を運び、リアルな売り場を見ながら情報を収集する。売り場には常に所狭しとさまざまな商品が並んでいる。これまでにない価値があってお客様の心に響く商品だとお店の方に伝わらなければ、価値ある新商品でも導入に繋がらない。次に出す商品は、絶対、このお店のこの棚に入れていただけるものにしようとイメージしながら、具体的な商品開発に繋げていく。今、担当しているのは「縫製品」と呼ばれるカテゴリー。ポーチやバッグインバッグといった商品のことで、ステーショナリーの中でも売上を下支えするカテゴリーに成長しつつある。
縫製品にはこれまでもお客様にいいものを届けてきて、コクヨの資産になっている商品がたくさんあると思っています。戦略担当として、将来的に事業の新しい柱となれるようなさらなる飛躍ができないかと日々考えているところです。
働く人をじっと観察しては、
まだない商品像をスケッチ。
今は品川オフィスでフロントと商品開発を繋ぐようなポジションにある木下だが、入社して10年は、大阪本社でステーショナリーの商品開発に没頭していた。オフィスや学校で使われる事務小物の開発に取り組んできた木下が、入社5年目に携わったのが、オフィスでの働き方の変化に合わせた縫製品の開発だった。
座席が決まっていないフリーアドレスのオフィスづくりが広がってきた頃でした。以前なら自分のデスクのペン立てに立てていた筆記用具やデスクワゴンに収納していた文房具を、フリーアドレスで働くビジネスパーソンは、常に持ち運ぶ必要があります。必要な仕事道具を入れて持ち運べて、その日に座った席でパソコンの横に置けるポーチみたいなものを考え始めたんです。ステーショナリーのメンバーだけでなく、オフィス空間を開発している別の部署のメンバーとも一緒にディスカッションしながら商品のスケッチを描いてきました。
持ち運べるポーチでもあり、ペン立てでもあり、スマホスタンドでもあり……。まだ世の中にはないけれど、あったら必ずビジネスパーソンが嬉しく感じるものを形にするために、スケッチや試作を繰り返す。フリーアドレスのオフィスやコワーキングスペースに足を運び、働く人をじっと観察しては、まだない商品を使う姿を想像する。
道のりは長かったです。使う人の動作のノイズにならない設計を目指して調整を重ねました。デスク上での自立のさせ方、ほぼワンアクションで開けられる使用感、覗き込まなくても中が見える開き方など、考えることは多かったです。使う人のモチベーションが上がるようなデザインも大事にしました。スケッチを描き直しては協力工場と試作・改良を重ねて、構想から1年半かけてやっと「ハコビズ」という商品名で発売できました。
期待を超える新しい体験を
デザインする。守り抜く。
木下たちが送り出した新商品「ハコビズ」は売れた。ショッピングサイトのレビュー欄には、使い勝手の良さだけでなく、生み出した発想を讃えるコメントまであった。最初はペンケースの拡張版という位置付けで「ツールペンポーチ」としていたカテゴリー名称だったが、パソコン周りのガジェットを入れている人が多いことから、「ガジェットポーチ」へと言い方も変えた。
世に出して終わりじゃないことも、この開発を経験して気づきました。呼び方も改良点もお客様のコメントから教わって、発売後もさらに進化させることができました。こだわらなければ、安く、こと足りるものが世の中に溢れているなかで、「おっ」と思っていただけるもの、これを使いたいと積極的に選んでもらえるプラスアルファをつくりたいと思って開発をしてきたので、お客様の反応がすごく嬉しくて励みになりました。
もともと理工学部出身の木下は、使う人にどんな気持ちを起こさせるかという心理的なデザインの大事さを、入社して出会った美大出身の上司や開発者たちから学んだという。そして今は、フロントや販売周りの知見を吸収する日々。周囲の人からいつも誠実に学び、気づける範囲を広げてきた木下。それでいて軸を見失うことはない。
他社よりもっと安くという意見も、もっと生産しやすくという意見もあります。いろいろな角度からの意見を大事に受け止めて考えながらも、商品の使い手が価値と感じることと向き合って、期待を超える新しい体験をデザインするという価値は守り抜きたいと思っています。