PEOPLE
グローバルワークプレイス事業本部
事業戦略 | グローバルリーダーコース
周 之桜 2025年新卒入社
何もない。だれも知らない。
私が働く意味がある。
グローバル企業としての初期フェーズにあるコクヨ。「今だからこそ面白い」と入社し、1年目から国境を越えてファイトするのが周之桜だ。12歳までを中国で、その後は日本で育ってきた彼女は、常に多彩なバックグラウンドを持つ友人に囲まれてきた。それもあり、1つの国の中で仕事を完結させるイメージはもともとなかったという。
海外に出ると、「KOKUYO?何て読むの?」みたいに言われることが多いんです。すごい、自分がやりたかったグローバル展開がまさにこれだ!って。何もないところ、だれにも知られていないところに打って出ることが、チャレンジングで楽しいと感じます。自分にできることがたくさんある気がして。
周の頭の中には常にダンジョン攻略のイメージがある。会社の目標という大きなピクチャーの中で、自分は今どこにいて、この仕事は何に繋がっているのか。今やっていることは次にどうなるのか、それができたらさらに何ができるのか。市場開発部は人数が少なく、部長や本部長との距離が近い。必然的に会話の中で“大きな絵”を意識する機会が多く、逆に意識しないと対等な会話も成り立たない。
個人的にはASEANという括り方をやめた方がいいと思っています。商習慣は各国で違うし、業界の属性も違う。そのエリアに一番適した売り方やプロモーションの仕方が何なのか、だれに対して売るのか、競合相手はだれなのかを一つひとつ分析したうえでやらないと思い通りの結果にはならない。コクヨにはパッションのある人が多いのですが、自分はどちらかというと「いや、もうちょっと前準備を」「一回ちょっと冷静になって考えてみましょう」と思うタイプ。両方いてこその組織なので、それでいいんですけどね。
タスクの前に、関係性だ。
周にとって、入社後最初の山場ともいえる経験が、1年目の9月から10月にかけてのLamex工場※への長期出張だ。期間は実質1カ月、タスクは工程計画の改善。これまでの工場では生産指示が「生産開始日」と「納期」の指定に留まっており、詳細な進捗管理は現場に委ねられていた。しかしそれでは納期遅れが発生した際に「なぜ遅れているのか」「どの工程で問題が発生しているのか」がピンポイントで分からない。ここを各工程への日次指示での管理に変えることで、プロセスの解像度を上げ、納期遅れそのものを防いでいくのが目標だ。(※2022年からコクヨグループの傘下にある中国のオフィス家具工場)
1年目とはいえヘッドクォーターから来ているので、丁重に扱っていただきました。ただ、心の距離は本当に遠く感じられて。彼らからすれば十何年も同じやり方でやってきたわけで、そこに突然日本から人が来て「やり方を変えろ」と言われるのだから、当然かもしれません。
現場のメンバーとて、コクヨの傘下になった以上はコクヨの基準を守ろうという思いはある。納期遅れも問題だと思っている。しかしやり方を変えるというのは単純に手間だ。皆、他の日本メンバーや周が言うことをとりあえずは聞くものの、そのなかで実行に移されるものは5割もなかった。このままでは、届かない。ここで、周は関係構築の方が先だと考えた。
工程計画を担当されている方のデスクに行ってちょっと世間話をしたり、「お子さん、どう?」みたいな仕事と関係ない話をしたり。まず人として受け入れてもらえないと何もかもうまくいかないんだろうなと思ったんです。関係性が構築されると「この人の言うことも一理あるか」となってくる。徐々に、徐々に、受け入れられるようになっていきました。
現場の本音に沿った先に、
正解を見つけていく。
ところで周の長期出張は思わぬところに着地をする。人間関係ができた、そこからシステムを使っての日次管理ができるように……とはならなかったのだ。実は周たちが日本から持ってきた「システムを使って管理する」というやり方には、かつて工場の人々が導入を試みて挫折した経緯があったことが判明。「一度うまくいかなかったもの」という印象があまりに強く、導入するのに乗り越えなければならない壁はたくさんあったのだ。
工程の進捗状況を把握することが目的なので、目的が達成できれば方法は何でもいいはずです。そこで代わりに導入したのがエクセルです。実は工場の皆さんは、日本からの改善要請が出た時点でエクセルでの管理を試みてくれていました。それをさらに精緻なものにしたうえで、各工程に対して日次指示をするというやり方でも良いと考えたのです。エクセルだと手動ではありますが、彼らが何かを「変える」負担はエクセルが最も少なく、事実、「エクセルでならやってもいいか」と思ってもらえました。結果的に納期遅延率は大幅に減りました。上層部も、こんなアクション一つで変わるとは思っていなかったみたいです。
納期遅延が解決すると、現場の半製品の削減など他の問題も間接的に解決されていく。「工程計画をちゃんとつくるといいことがある」と徐々に浸透したこと、そして周が現場に長く滞在したことが、現場のメンバーの態度をまた柔らかく変えていった。「帰省したからお土産あげるよ」なんてことが、プロジェクトの後半になるにつれて増えていったという。その関係性自体に達成感がありました、と周は小さく頷いた。彼女も人知れずたくさんのハードルを心の中で乗り越えてきたのだ。
初めてのことばかりなんで、緊張するんですよ。もうやめたい、って常に思うんですけど、「どれだけ怖くても逃げない」と母から言われて育ってきて。逃げても同じ課題は形を変えて人生でまた出てくるし、一回でも逃げると「その課題=乗り越えられないもの」という認識が自分の中で焼きついてしまう。だからビビっても逃げない。人生でも仕事でも、同じ意識を持っています。