PROJECT STORY 05
データドリブン推進
社員全員、
デジタル強者へ。
データ活用の壁を壊せ。
データやAIをどう活用するかは、ビジネスの成長を大きく左右する。コクヨでは「社員一人ひとりが、日々の仕事現場で自律的にデータ取得・分析を行い、課題解決できるようになる」ことを目的に、“デジタル人材の育成”と“データ活用環境の整備”という両面から推進している。約8,000名のグループ社員全員を“データ活用強者”にしようという取り組みは、先行事例として社外からも注目を浴びている。社内学校「KDA(KOKUYO DIGITAL ACADEMY)」での学びと、だれもがデータを自律的に分析できるようにするためのデータ分析基盤の構築。変革の両輪を推進する、プロジェクトメンバー4名に目指す未来を訊いた。
社員全員、
デジタル強者へ。
データ活用の壁を壊せ。
データやAIをどう活用するかは、ビジネスの成長を大きく左右する。コクヨでは「社員一人ひとりが、日々の仕事現場で自律的にデータ取得・分析を行い、課題解決できるようになる」ことを目的に、“デジタル人材の育成”と“データ活用環境の整備”という両面から推進している。約8,000名のグループ社員全員を“データ活用強者”にしようという取り組みは、先行事例として社外からも注目を浴びている。社内学校「KDA(KOKUYO DIGITAL ACADEMY)」での学びと、だれもがデータを自律的に分析できるようにするためのデータ分析基盤の構築。変革の両輪を推進する、プロジェクトメンバー4名に目指す未来を訊いた。
PROJECT MEMBERS
-
川村 真澄
ビジネスサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット ユニット長
2023年5月キャリア入社。ビジネスサプライ事業のデータ分析基盤構築と利活用推進、コクヨグループ全社員向けにデジタル領域の知識・スキル習得を目指す「KDA(KOKUYO DIGITAL ACADEMY)」の責任者。
-
夛名賀 寛
ビジネスサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット データテクノロジーグループ
2024年1月キャリア入社。ビジネスサプライ事業・カウネット向けのデータ分析基盤構築のプロジェクトリーダーとして、全体方針やテクニカル部分を司る。またKDAでの技術サポートも担当。
-
小林 誠也
ビジネスサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット データアナリティクスグループ
2017年1月キャリア入社。カウネットの営業部門で営業管理を担当。2024年7月から現部署へ。データ分析基盤構築において営業領域での活用推進を担う。またKDAでは“GenAI―Lab”の企画運営も担当。
-
金剛寺 憲吾
ビジネスサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット データアナリティクスグループ
2022年4月新卒入社。カウネットのEC領域でマーケティングを担当。現部署では、データ分析基盤においてEC領域での活用推進を担う。また、KDAでは“文系AI塾”などの企画運営を担当。今年度のデータドリブン講座では講師も担当予定。
FLOW
-
2023年5月
データドリブン推進ユニット発足、データ分析基盤構築PJ開始
-
2023年6月
KDA(KOKUYO DIGITAL ACADEMY)キックオフ
-
2023年12月
KDA第1期開始
-
2024年9月
KDA第2期開始
-
2025年9月
KDA第3期開始
-
2026年5月
のべ1,800名が受講 ※継続中
-
現場で自律して
課題解決できるデジタル人材を。創業から120余年。文具から家具、空間、通販へとその領域を広げてきたコクヨ。長年培われてきた経験と勘、そして次なるものをカタチにするクリエイティビティは何よりの強みだろう。その一方で、デジタル化やデータ活用という観点ではどうだろう。お世辞にも強い会社とは呼べなかった、というのが正直なところ。その背景には、データを利用できる環境が整っていないことや、データを活用できるスキルを持つ人が少ないという課題があった。
そんなビハインドを打破し、コクヨグループをデジタル強者に変えていく。大胆な変革を推し進めるのが、コクヨのビジネスサプライ事業部“データドリブン推進ユニット”。「自走自律のデータドリブン」をコンセプトに発足した。ちなみにビジネスサプライ事業部は、オフィス用品通販「カウネット」など通販・購買管理を柱としたコクヨのデジタル化をリードする事業部だ。
ユニット長の川村は部署の目的を次のように語る。「現場部署の人たちが自律的にデータの取得と分析をして課題解決できるようになることです。そのために必要なのは、スキルを身につけたデジタル人材を育成していくこと。もう1つは、営業や開発などエンジニアではない現場の人が使えるデータベース環境を整えることです」。
川村はコクヨ入社と同時に、全社のデータドリブン推進というミッションを託された。
具体的な手段として、“デジタル人材育成”のために、2023年6月「KDA(KOKUYO DIGITAL ACADEMY)」と呼ばれる社内学校を開講した。対象はコクヨグループ全社員だ。また「現場の人が使える環境」の実現に向けて、クラウドでのデータプラットフォームを使ったデータ分析基盤を整えていく。
特筆すべきは、経営層が「全社でやろう」と決めて、人材のデジタル化を強力に後押ししていること。ITや人事、事業系の役員が、自ら学長や副学長となって全面的にコミットしている。その事実からもコクヨの本気度がうかがえる。
「コクヨの役員だったらGPTで何する?」をテーマにパネルディスカッション。
-
エンジニアでなくても
実践でアプリ開発に挑戦。さて、具体的なデジタル人材の育成方法を見ていこう。舞台となるのはKDA。
「KDAにはコアとなる3つの特徴があります。1つ目は『学び+実践』。座学だけでは知識が定着しないため実践までセットで行います。2つ目は『だれでも参加可能』なこと。そして3つ目が『アップスキリング』。リスキリングではなく、さらなるスキルの深化と捉えています(川村)」。
実際にどんなプログラムがあるのだろう。KDAの運営をサポートしながら自らも参加する金剛寺によると「座学はAIやIT、データ活用に関する講座があり、約3カ月のサイクルで手を動かしながら学びます。その学びを定着させるのが実践講座。例えば“GenAI-Lab”では参加者がチームを組み、生成AIを活用しながら組織課題の解決に取り組みます。取り組みの成果としてAIアプリが生まれることもあります」。講座のタイトルも“文系AI塾”など、参加のハードルを下げるための工夫を行っていると話す。
“GenAI-Lab”で開発したアプリが、実際に現場で活用されることが理想的だ。そのためには、課題となるテーマ設定が大事だ、とKDAの運営をサポートする小林は話す。
「直近の“GenAI-Lab”では、現場での活用を前提に事業部から課題テーマを出してもらうようにアップデートしました。ただ、生成AIで解決できるような問いを上手く立てられないケースもある。もっと事業部とコミュニケーションを取りながら、テーマの精度を上げていかないといけないですね」。
とはいえ、“GenAI-Lab”を通して、現場で成果を上げているケースも出てきている。
「例えば、ある参加チームが、カウネットの顧客が購入している競合商品の代替となる自社製品を提案するAIアプリを発案。現場に実装することで、多くの競合商品リストから1件1件自社商品を目視で探す作業において、大幅な工数削減を実現しました(金剛寺)」。
非エンジニアでも、わずか2、3カ月で効果的なAIアプリをつくることができたという事実。まさに狙い通りではないか。参加者たちの評判を聞いた職場の人が「だったら自分もやってみようかな」とKDAに参加する。そんないいサイクルが回っている。
-
だれもが分析・活用できる
データ活用環境につくり替えよ。一方、データ活用をとりまく環境はどうだろう。専門知識がなくてもビジネスサイドを含めて全員がデータ活用するには、どう“壁”を乗り越えるのか。
「分析で使いたいデータが使いやすい情報というカタチでそろっている、という状態を目指して構築しています(夛名賀)」。
まずは老朽化したデータ分析環境を新しい環境に移行するところからスタート。
「長年運用されてきた環境の中には、社内のだれも分からないロジックのデータがありました。それらを一つひとつ紐解き、質の高いデータとして届けるのが難しい点でした」。夛名賀は、データの持ち方を標準的なフレームワークにつくり替え、臨機応変に対応できるデータ構造に変更を行った。
さらに、これまでは物流管理や基幹システムのデータソースがメインだったが、“Google Analytics”のWeb行動データや“Salesforce”の営業活動データなど異なるデータの統合も始めており、さまざまな角度から分析できるようにしている。
また、現場のユーザーにとって使いやすくするための工夫も必要だ。小林は営業領域の知識を活かして検討を行う。「例えば売上データといっても、顧客別なのか、エージェント別なのか。あるいは商品やカテゴリー別なのか。部門によって見たい軸は違います。それぞれの部門のニーズが叶えられるように努力しています。加えて最近は、AIが解釈しやすいデータ構造をつくることも意識するようにしています」。
とりわけ画期的なのは、AIエージェント機能を持たせ、現場ユーザーがチャット形式でやりとりしながらデータ分析できることだ。質問を入力すれば専門知識は不要。データの壁は一気に低くなった。「これまでデータに触ってこなかった層が気軽にデータに触れることができると思います」と、夛名賀は期待を込めて話す。
“Snowflake”は、カウネットをはじめビジネスサプライ事業にフォーカスしてスタートしたが、今後は他事業やグループ会社でも活用していく予定だ。
AIエージェント機能により、専門知識がなくともコクヨデータベース内でデータ分析が行えるようになった。
-
デジタル領域でも
コクヨが真っ先に事例をつくる。2023年にスタートしたKDA。2026年1月時点で、受講体験者はのべ1,800名(2026年5月時点)を超えた。おおよそグループ社員(国内のみ)の20%が参加したことになる。
「30%を超えると、チームとしてデジタル前提で物事を進めていく世界になる。定量的には30%が1つの目標ですね(川村)」。
例えばカウネットの営業部門のように、KDA卒業生が中心となって部門で積極的にAIプロジェクト活動を行うなど、実際の現場でKDAの効果が表れつつある。
現場で自律的にデータを分析し、課題解決を行う「自走自律のデータドリブン」。その実現の先には、どんな未来があるのだろうか。
データとAI活用によって、いずれはユーザーの体験が変わるようなプロダクトを提供していくことができるのでは、と小林は話す。「データとAIの力で『働く・学ぶ・暮らす』のあり方を変える。そんな大きな夢を目指していきたいですね」。
夛名賀は、「個人的には」と前置きして次のように話す。「データ分析基盤は、基本的には売上や利益を生まないコストセンターになりがちですが、そうではなく、私たちの先にいるサプライヤーさんやエージェントさん、お客様に価値を還元できるものにしていきたいと思います」。
川村も、「まだ想像もつかない部分もあるが」と言いながら、「データやAIの使い方が変わることで、最終的には提供するプロダクトやサービスが変わっていくでしょう。それをコクヨが世の中で真っ先にやっている状態を目指していきたい。私たちがデジタル領域でも先行事例をつくっていきたいです」。
ありたい未来の実現に向けて、今、社員に求められる資質とは何だろう。「変化をちゃんと楽しめる人がいいですね」と金剛寺は言う。変化を遠ざけるようでは、あっという間に古びてしまう。
夛名賀は「既存の仕組みを疑って、常に前を見て変化をどんどん取り入れていく人」だと言う。常識に捉われていては、革新は生まれない。
「より良いものに変えていこう」。そんなマインドが、コクヨの未来をつくっていく。