PROJECT STORY 02
組織の変革
変化するか、とどまるか。
壁を壊し、
組織を変えろ。
同じような仕事をしながらも、組織上は別の部署。2025年6月、そのうちの1つの部署が業務過多に。もう1つの部署とうまく協力体制を築くことができない事態が発生した。なんとか回避はしたものの、将来の事業拡大を考えたとき、このままでは成長どころか衰退する。危機感を抱いていた現場の4名のリーダーが中心となり、ありたい姿を目指し組織変革にチャレンジ。壁は組織構造だけでなく、それぞれの歴史の中で培われてきたルールや文化の違いからも生じていた。
変化するか、とどまるか。
壁を壊し、
組織を変えろ。
同じような仕事をしながらも、組織上は別の部署。2025年6月、そのうちの1つの部署が業務過多に。もう1つの部署とうまく協力体制を築くことができない事態が発生した。なんとか回避はしたものの、将来の事業拡大を考えたとき、このままでは成長どころか衰退する。危機感を抱いていた現場の4名のリーダーが中心となり、ありたい姿を目指し組織変革にチャレンジ。壁は組織構造だけでなく、それぞれの歴史の中で培われてきたルールや文化の違いからも生じていた。
PROJECT MEMBERS
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西村 徳久
グローバルワークプレイス事業本部 東日本チャネルバリューユニット
2003年入社。一貫して建材ビジネス業務に携わっており、大規模から小規模まで案件担当や窓口対応、マネジメント業務を行う。
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上村 要太
グローバルワークプレイス事業本部 首都圏第1バリューユニット第2グループ
2004年入社。東京および首都圏でSE(セールスエンジニア)として経験を積んだ後、建材設計施工部で、設計と施工の両方のマネジメントを担当。
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加藤 竜治
グローバルワークプレイス事業本部 首都圏第2バリューユニット第3グループ
2004年入社。販売店担当や営業部を経て建材窓口へ。現在は、現場業務から離れチームやユニット全体のマネジメントほか、業務フローの再構築、DX推進など多岐にわたる業務領域を担当。
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小林 太一
グローバルワークプレイス事業本部 建材オペレーション統括部コンシェルジュグループ
2008年入社。SEとして営業や技術の基礎を学んだ後、建材設計へ。現在はコンシェルジュグループで新組織におけるオペレーションの意思決定とマネジメントを行う。
FLOW
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2019年
建材専門のコクヨエンジニアリング&テクノロジー社とコクヨ社の建材ビジネス部門が合併。コクヨの“建材ビジネス本部”へ
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2025年6月
業務過多などで、建材設計施工部の業務がパンク寸前に。これをきっかけに組織変革プロジェクトがスタート
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2026年1月
新組織「VU(バリューユニット)」が正式に発足
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このままじゃ破綻する。
協力を阻む組織の壁。会社はさまざまな組織から成り立っている。一つひとつの組織には、経験や実績にもとづくノウハウや習慣があり、特徴や強みとなってビジネスを切り拓いていく。ただ、それらはときに排他的な壁となり、成長の足枷になってしまうこともある。
コクヨの建材ビジネス本部も、まさにそういう状況にあった。コクヨの建材事業は、オフィスなど空間の構成に必要な“パーティション”を扱う。今回、話の舞台となるのは首都圏でパーティションの設計施工を行う“建材設計施工部”と“SE(セールスエンジニア)部”。
小林は、その役割を説明する。「“建材設計施工部”は、主に首都圏の大型案件を担当する部署で、担当も設計部門と施工部門で分かれます。一方、“SE部”は中小規模の案件がメインで、一人で設計から施工まで担当するのが特徴です」。
2025年当時、都心では超大型ビルなど多くの案件が進行中だった。大型案件を担当する“建材設計施工部”は、その対応に追われていた。難易度の高い案件も多く、まさにフル回転の毎日。息つく暇もなくメンバーの顔色は、日に日に悪くなっていく。心身ともに大きな負担がかかり、休む者も出てきた。
その状況を目の当たりにしていたのが、西村と上村、小林だった。西村は「まずい、このままだと業務が破綻する」と思った。忙しすぎる。人もいない。どうするべきか。西村は部門のトップである本部長に相談すると共に、上村や小林と対策を話し合った。そして“SE部”に応援を求めた。
当時“SE部”だった加藤は「僕らが手伝いますよ」と、応援体制をつくろうとした。しかし結果的に“SE部”からの協力は叶わなかった。
なんとか地方エリアから応援に来てもらい、緊急事態を乗り切った。しかし、問題の本質は何も解決していなかった。今後もまた、同じようなことがきっと起こる。案件の大小はあれど似た仕事をしている部署が、なぜ協力体制をとることができないのか。そこには、歴史によって築かれた縦割りの壁があった。
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空間をつくる
本来の楽しさをとりもどせ。西村は、“建材設計施工部”と“SE部”について、その背景を説明する。
「建材ビジネス本部は、コクヨとコクヨエンジニアリング&テクノロジー(KET)が2019年に合併して現在のようになりました。もともとコクヨが大型案件を、KETは中小規模の案件を担当。同じような仕事ですが、進め方や管理方法などルールも全く違う。要するにそれぞれが築いてきたものを引きずっており、どこかお互いのやり方を認めない文化があったわけです」。
“建材設計施工部”のメンバーは大型案件を担当できることや、設計や施工の専門性に。“SE部”のメンバーは、一人で設計施工まで現場を取り仕切る責任感に。それぞれがプライドを持っていて、お互いを理解するきっかけもなかった。
また、“建材設計施工部”の内部にも縦の壁があった。加藤は“SE部”から客観的に見ていた。「設計担当は、設計が終わったら『あとは工事チームでよろしく』と渡してしまう。工事担当も『設計のことは設計に聞いてください』という感じで、組織構造がお互いの業務まで線引きしてしまっていました」。
“建材設計施工部”だった上村は、「われわれの本来の目的は “空間を納める” こと。考え方まで分けてはいけない。お客様から見たら設計も施工も同じコクヨなのですから」と、お客様の方を向くことができていない状態に危機感を持っていた。
これを機に、組織を変えなければいけない。このままではビジネスの成長はない。小林は変革への想いを語った。
「本来、空間をゼロからつくることは最高にエキサイティングな仕事です。でも組織が疲弊していては、その楽しさを感じる余裕すら奪われてしまう。何よりも、お互いを尊重しないなんて悲しいじゃないですか。縦型の組織は効率的だけれど、今の自分たちには合っていない。壁を壊すべきだと」。
2025年後半、現場の当事者たち4名が中心となって組織変革プロジェクトが本格始動した。
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「変化するか、とどまるか」。
そのとき、心が動いた。だれもが健全に働くことができ、真にお客様の方を向いて仕事ができるように。建材ビジネスの持続可能な組織へと変えていく。2025年後半から4名はそれぞれ課題を出し合い、知恵を絞り、解決策を話し合った。
その結果、「“建材設計施工部”と“SE部”を解体しようと決めました。そして、大型から小型まで全案件を、設計施工を分けずに一貫して責任を持つ、1つの組織へと生まれ変わらせるための具体的な仕組みづくりを自分たちで進めていきました」。
合併から6年、それぞれが歩み続けてきた組織の壁を破壊し、再構築へ。“バリューユニット”と名付けられた新組織は、2026年1月スタートに決まった。
しかし本題はここからだ。今回の場合、組織を変えるということは、業務のみならずそれぞれのカルチャーまで壊し、つくり替えることに他ならない。一筋縄でいくわけがない。
2025年の年末、建材ビジネス本部の部長やマネジャーが全国から集まり合宿を行った。“バリューユニット”の発表がされると、事情を理解していないマネジャーからは否定的な声も聞かれた。
「『うちはうまくいっているのになぜ』とか『売上が下がるんじゃないか』などの意見もあり、まだ同じ方向を向けていないと焦りを感じました(小林)」。
そんなざわめきの中で、トップである本部長が強烈な一言を放つ。「変化するか、死ぬか」。旧態依然とした組織から脱却しないと、次のステージには行けない。そう決意を込めた言葉が後押しとなって「その場にいた全員の心が動きました」と加藤は言う。
いよいよ2026年の年明けから、“バリューユニット”がスタートする。ここからが勝負だ。現場のメンバーたちは、果たしてどう受け止めるのだろうか。
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戸惑いと混乱のスタート。
でも、だれも一人にはさせない。2026年1月、“バリューユニット”の船出は荒れていた。特に業務が大きく変わるメンバーもおり、不満や不安が大きかった、と小林は顧みる。
「これまでは設計あるいは施工のスペシャリストとして評価されてきたものの、突然両方を担当する業務に変わったために、ネガティブな感情を持つメンバーも少なからずいましたね」。
ネガティブな反応に対して、加藤は
「まずお客様のために、という目的をしっかりと伝えました。そのうえで、具体的な業務でも役割を丁寧に伝えて、腹落ちしてもらうように気を配りました」と話す。
“一人にさせない、抱え込ませない”ためにも、一人ひとりの不安に、4名それぞれが寄り添い、対話するようにした。
フロアでの交流にも気を配った。当初はフリーアドレスのために、旧組織で固まって交流が活性化しなかった、と小林は話す。
「そこで試験的に1月からグループアドレスにしました。席の並べ方も、居酒屋みたいに並べたり、V字型に並べたりと試してみました。また、フロアには“社長のおごり”という2名で買いに行くと1本が無料になる自動販売機があって。まだ利用していない人に付せんに名前を書いてもらって、その人に声をかけよう、みたいな仕掛けをしたり。いろいろとやりましたね」。
4名の積極的な介入もあり、スタートから3カ月時点のアンケートでは、「ほとんどの人が『話すきっかけになった』といった前向きな回答をしてくれました。心の距離が近くなったんじゃないかな(小林)」。
また、実際の案件でも旧“SE部”のメンバーを大型案件にアサインしたり、旧“建材設計施工部”の設計だったメンバーに施工まで任せたりするなど、徐々にトライアルがスタート。「組織が変わりすぎてやっていけるか不安です」と言っていたメンバーも、最近は新しい仕事への取り組みにチャレンジしていて、いい表情が見られるようになったという。
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変化を楽しみ
毎日ワクワクする人生へ。2026年4月。まだ“バリューユニット”がスタートして4カ月だが、少なからず手応えが出てきた。上村は、「全員が標準化した仕事をするには、思った以上に解決しなければならない課題も多いです」と前置きをしながらも、「でも、みんな“未来のためにやるしかない”という思いで、同じベクトルに向きはじめたなと感じています」。そう明るく答えた。
まだまだ始まったばかりの変革だが、この先にありたい未来とはどんな世界なのか。小林の言葉を借りれば「つくる人が変化をワクワク楽しみ、ポジティブなエネルギーが伝播する社会」ということになる。
「今回の変革で目指したのは、一人ひとりのメンバーが“変化を楽しみ、毎日をワクワク過ごせる人生”を送れるようにすることです。私たちが心から仕事を楽しむ姿は、かならずつくり出す空間の質に現れ、使うお客様にも伝わります」。
自分たちが“変化を楽しむロールモデル”となることで、社会全体に働くことやつくることの楽しさが広がっていくに違いない、と小林は笑う。
組織は生き物であり、時代や環境に合わせて変わらなければ衰退し、やがて死ぬ。このままじゃダメだと現場の4名が本気になって、わずか半年で組織変革を力強く推進していく。この規模の会社ではきわめて珍しいが、一気に動くスピードと大胆なチャレンジこそ、コクヨのDNAにちがいない。