PROJECT STORY 01

Campusブランド
グローバル展開

Campusブランドを、
世界に展開せよ。

1975年の発売以来、37億冊を販売してきたCampusノート(2024年12月時点)。2025年、発売50周年を機にノートブランドから「まなびかた」ブランドへと刷新した。単にノート以外の文具を増やすのではなく「文具×メソッド」で、“まなびかた”そのものから提案。背景には、ICT化など学習環境の変化に伴い、学生たちが勉強方法そのものに悩みを抱えているというグローバルな課題があった。ブランド刷新をスタートに、2030年アジアNo.1ブランドを目指す挑戦が始まった。

Campusブランドを、
世界に展開せよ。

1975年の発売以来、37億冊を販売してきたCampusノート(2024年12月時点)。2025年、発売50周年を機にノートブランドから「まなびかた」ブランドへと刷新した。単にノート以外の文具を増やすのではなく「文具×メソッド」で、“まなびかた”そのものから提案。背景には、ICT化など学習環境の変化に伴い、学生たちが勉強方法そのものに悩みを抱えているというグローバルな課題があった。ブランド刷新をスタートに、2030年アジアNo.1ブランドを目指す挑戦が始まった。

PROJECT MEMBERS

  • 本村 香代子

    グローバルステーショナリー事業本部 マーケティング戦略推進部

    2004年の入社以来、一貫してステーショナリー分野を担当。営業や販売企画を経て、2021年からグローバル領域に関わり、海外の市場開拓を推進してきた。Campusのリブランディングでは、ブランドマネジャーとして全体を統括。

  • 堤 沙也佳

    グローバルステーショナリー事業本部 マーケティング部 ブランド戦略グループ

    2017年入社。消しゴムやペンケースの商品企画にはじまり、シリーズ商品の企画・商品戦略を担当。途中、新規事業開発を行うイノベーションセンターを兼務。2025年よりCampusのブランド戦略担当へ。

  • 藤谷 慎吾

    グローバルステーショナリー事業本部 クリエイティブ企画部 ブランドクリエイティブグループ

    2012年にデザイン系採用で入社。キャンパスノートなどの紙製品やハサミなどの金属文具、シリーズ商品の企画、開発、デザインなど立ち上げを経験。2025年より、Campusのクリエイティブディレクターを担当。

  • 音流村 彩香

    グローバルステーショナリー事業本部 マーケティング部 ブランド戦略グループ

    2025年にキャリア入社。前職は外資系消費財メーカーで、9年にわたりブランドマーケティングに携わる。経験を活かして、ヘッドクオーターとしてのグローバル全体戦略づくりを担当。

FLOW

  • 2024年

    Campusブランドのリブランディング検討がスタート

  • 2025年4月

    現体制でプロジェクト発足

  • 2025年9月

    リブランディング発表。第1弾商品を発売

  • 2026年2月

    第2弾商品を発売

  • 2026年5月

    第3弾商品を発売(Zoffコラボ)

  • 好きでも嫌いでもない
    ブランド。
    Campusの
    新たな価値をつくれ。

    時を遡ること1975年、モノクロが主流だったノートの世界に、カラフルな表紙をまとったノートが登場した。Campusと名付けられたそのノートは、たちまち学生たちの間で人気者に。以来、キャンパスノートはコクヨの顔ともいえるブランド商品になる。

    今後も選ばれ続けるブランドになるために。2025年、キャンパスノート誕生から50周年を機にブランドのリニューアル(リブランディング)を決定。とはいえ、50年もの歴史を持つレジェンドをどうやってリブランディングしていくのか。さらに新ブランド発表は2025年9月に予定しており期間はわずか数カ月しかない。

    プロジェクトのブランド戦略を担う堤は、まずCampusの現在地を知るためにアンケート調査を実施した。「認知度は95%。でも、好きでも嫌いでもない。どこにでもいる“近所のおじさん”のようなイメージだと分かりました」。たしかに今の学生にとっては、おじさんかもしれない。

    商品企画経験が多かった堤にとって、Campusプロジェクトはブランドを「育てる」という新たな挑戦でもあった。

    昨今、ノートを取り巻く環境は大きく変化している。教育現場ではタブレットなどICT化が進み、黒板をノートに写すことは少なくなった。また暗記中心から、思考や議論など主体的な学びへの変化もある。そんななかで、学生はどうやって勉強しているのか。ヒアリング調査していくなかで、「学生たちは、どうやって学べばいいのか分からない。学び方に自信がない。そう感じました(堤)」。

    プロジェクトを統括する本村は、勉強方法が多様化していると言う。「だからさまざまな勉強方法を知ったうえで、自分に合った方法を取り入れたいという意識を強く持っています」。

    学び方に悩む学生たちを支えることができないか。それは学ぶ道具を生み出してきたコクヨがやるべきことではないか。もうノートだけで勉強できる時代ではない。学生に寄り添い、学びをサポートする存在になる。それが新たに見いだされたCampusブランドのこれからの方向性だった。

  • 「まなびかた」という
    カタチないものを
    どのように
    具現化していくか。

    単なるノートの商品名から脱却して、学生の「まなびかた」を支えるブランドへと大きく舵をきったCampus。本来、文具には、選んで使う楽しさがある。新たなコンセプトは「まなびかたをもっと明るく(Bringing joy to learning)」に決まった。

    しかし、どのように「まなびかた」ブランドを具現化していくのか。答えのない、道なき道を進むしかない。試行錯誤するなかで見えてきたのは、「ハードの力」と「コンテンツの力」を掛け合わせていく戦略だった。

    クリエイティブディレクターの藤谷は「総合文具メーカーの強みを活かして、ノートの他に役立つ文具もCampusブランドとして取り入れました。それらを『文具×メソッド』として“まなびかた”アイデア集というカタチにして提供していくことにしました」。

    こうして生まれたのが、明るく遊び心あふれる“まなびレシピ”だ。“メモ勉”“モチ勉”など4種類の勉強方法とともに、必要な文具の組み合わせを提案。例えば“ちょこ勉”は、ミニルーズリーフや暗記ペンをうまく使って、通学などのすき間時間に効率よく勉強ができるレシピになっている。

    レシピづくりについては、「“付せん”や“ノートクリップ”など、最適な使い方シーンを商品企画や開発担当者と相談。そこから商品を組み合わせて『○○勉にしよう』と決めていきました」。本来は先にレシピのストーリーがあって商品を開発するが、当初は商品開発が先に動いており、それらを組み合わせてストーリーにすることが大変だったと、堤は振り返る。

    一方、「まなびかた」ブランドを浸透させるために、売り場の変革にも挑戦。「通常、店頭では商品をカテゴリー別に売っていますが、“まなびレシピ”として1つのコーナーを設置してもらえるようトライしています。ユーザーが興味を持って複数購入してもらえれば、お店としても通常の展開よりもお客様一人あたりの購入単価が上がります。商談会を通してバイヤーさんの共感も得られているので、どんどん進めていきます(藤谷)」。

  • 社内の理解者を増やさなければ
    “まなびレシピ”は
    実現できない。

    プロジェクトメンバーがCampusの新たな方向性を決めても、社内のメンバーが一枚岩となって動かなければリブランディングは成功しない。Campusには商品企画や開発、営業、生産など多くのメンバーが関わっており、認識をそろえ、協力体制を築くことは不可欠だ。

    「たびたび社内の関係者を巻き込んでワークショップを開催、新たなCampusの方向性について議論しました。そこからブランドの価値規定を策定。ターゲットやそのインサイト、ベネフィット、ブランドパーソナリティーなどを決めて、共通認識を持ってもらうようにしました(藤谷)」。

    しかし、社内浸透は思ったよりも難しかった。これまでCampusは体系立てたブランディングを十分にやっていない。「良いものは売れる」という成功体験が長かったために、ブランディングの必要性を社内に認識させるのは骨の折れる仕事だった。

    商品企画や開発にも正しく理解してもらわなければ、“まなびレシピ”は絵に描いた餅になってしまう。堤をはじめメンバーたちは、社内の関係者と対話を重ねながら地道に理解を得ていった。「資料や話し方など、現場のメンバーが理解しやすいように、実際にものづくりに活かせる言葉に翻訳して伝える工夫をしました」。

    そうして迎えた2025年秋。新しく生まれ変わったCampusブランドを、代理店や得意先向けの新商品発表会“コクヨメッセ”で発表。本村は「この展示会で、社内の関係者も五感で感じながら理解してくれた。やっと一つになれたと思いました」。

    しかし、それでもまだやっと国内メンバーに伝わったばかりだと本村は言う。そう、新たなCampusブランドは日本にとどまらず、アジア、いや世界No.1を狙うグローバルブランドだからだ。

  • ローカライズの壁を越え、
    アジアNo.1ブランドへ。

    Campusブランドは、2030年にアジアNo.1になることを目標においている。これまでCampus自体は、インドネシアやフィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム、中国といった国々で展開してきた。ここからは「まなびかた」ブランドとしての浸透が大切になってくる。

    国が違えば文化も違い、学び方も文具の選び方も異なってくる。ブランドの浸透のハードルは決して低くはない。海外のブランド戦略を担当する音流村は、その違いについて次のように話す。

    「例えば、“とじ勉”で使うバインダー。日本だと注力するカテゴリーですが、ルーズリーフを使う習慣がない国だと 『何これ?どうやって使うの?』となってしまいます。私たちが考えた“まなびレシピ”のローカライズは、これから取り組むべき重要なテーマですね」。

    一方で、アジアの学生へのコミュニケーションにおいても、“まなびかたをもっと明るく”という方向性は共通だという。例えばインドネシアやフィリピンは、日本と同じように“詰め込み型”から“主体性や創造性”の学びへの移行が注目されつつある。したがって、“まなびレシピ”のように幅広いラインアップを体験と結びつけて提案することは、有効な手段になるはずだ。

    「日本以外の国でも学生たちから愛されるブランドになるには、各国の競合環境を理解するだけでなく、現地のメンバーと市場におけるポジショニングやブランドターゲット、プロモーション活動など議論しなければならないことが山積みです(音流村)」。

    ブランドホルダーとしてリーダーシップを発揮し、今は別の方向を向いている現地メンバーの目線をそろえ、協力を獲得していくことが大切だと言う。

    これからが正念場。Campusが今後どれだけグローバルブランドとして成長していけるかの大事なフェーズに入っている。

    マレーシアでのイベント出店時の様子。

  • 人生100年時代、自分なりの
    “まなびかた”を
    見つけられる世界へ。

    2025年9月、「まなびかた」ブランドとして新たにスタートしたCampusだが、果たして、その成果はどうなのだろう。

    「第1弾の商品は、お客様や流通にとても好意的に受け入れられました。売上金額も導入店舗件数も、計画値を大幅に上回ることができました(本村)」。

    好調な滑り出しに、2026年2月には第2弾として25種類108品番の文具を追加した。一方で、まだまだブランドとしては始まったばかりだと藤谷は言う。“まなびレシピ”の種類も、それに対応する文具も増やしていかなければならない。

    第2弾として、すき間時間を有効活用するまなびかた「ちょこ勉」に商品を追加。

    「ゴールは“まなびかた”ブランドとして学生の認識を変えていくこと。自分に合った“まなびかた”を選ぶなかで好奇心が生まれ、さらに成果を出すことができれば、その人の人生にとって壁を越える力になるはずです」。

    堤は、ある学生宅を訪問調査した際の体験をこう話す。

    「必死で大学受験を頑張って第一志望に合格した学生さんで、勉強の際に気に入って買ってくれたのが第1弾で発売したブッククリップだったんです。そういうシーンの中に私たちの提案した商品があったことがすごく感動的で。文具ひとつから“まなびかたって変わるんだ”と思ってもらえればいいなあと」。

    人生100年時代。学生に限らず、学びはずっと続いていく。自分なりの“まなびかた”を見つける人を、日本で、世界で増やしていく。それはCampusブランドの使命かもしれない。

    本村は微笑みながら言った。「あの近所のおじさんが、世界のあこがれになればうれしいですね」。